雑誌などでは、体内毒素と体外毒素を区別せずに「毒素」とまとめているようです。
しかし、それでは岩盤浴による「発汗デトックス」の正しい毒素排出作用はわかりません。二つの毒素は厳密に分ける必要があります。
なぜなら、「体内毒素」の排泄は、本来腎臓の仕事であって、汗の仕事ではないからです。汗はオシッコみたいなものという誤解がたまにありますが、汗は尿のような「排泄物」ではありません。汗の仕事は、体温調節なのです。
ところが、偶然というか、意に反してというべきか、「体外毒素」つまり有害金属の中に、汗とともに排出されてしまうものもあるのです。その理由を知るには、太古の昔に遡らねばなりません。人間は、進化の過程で、脳細胞を発達させました。
脳細胞はコンピュータと同じ精密パーツですから高温に弱い。そこで脳温を一定にするために、汗腺を二種類も備えました。一つはアポクリン腺というニオイ専用の汗腺。もう一つは、その改良型のエクリン腺。こちらは体温調節の専用バージョンです。
都会のビルに大型コンピューターを設置するなら、エアコンが必須ですね。同じように温度を調節するための汗腺が整うことで、人間の脳は大きくなることができました。人間の進化は、汗腺と二人三脚だったのです。
その意味で、人間の汗腺は、色々な身体器官のうちで、いちばん最後にできあかっか組織なのです。最後にできたということは、いい方を変えれば「いちばん未熟で未完成の器官」でもあります。このことは、汗の中に血漿の成分が含まれている事実からもわかります。
汗の成分は血液の中の血漿からできています。けれども、血漿など使わずに血液の中の水だけを汗にすれば、もっと効率よく蒸発できるはずです。
実はこういうところが、汗腺の未完成のところなのです。汗腺は、いったん汲み取った血漿の成分を100%は、もとの血液に戻すことができません。そのために大事なミネラル、そして微量の乳酸などの老廃物の一部も一緒に汗となって出してしまいます。
ところが、「体外毒素」つまり有害金属の排出に関しては、その未完成さが幸いしたのです。はるか昔、人間の腎臓が現代人のようなものに完成してきた頃、まだ「環境汚染」はありませんでした。おかげて腎臓は、有害金属の処理など考えもせずに進化しました。
そんな腎臓に、いまさら「申し訳ないが、有害金属も始末してくれ」と頼んでもダメです。「私は、もう仕事のプログラムが完成してますから。これ以上のバージョンアップは無理ですよ」と困った顔をされるのがオチでしょう。
一方、汗腺は出来が未熟なために、血漿の有害金属をいったん汲み取ったら汗と一緒に出してしまうのです。汗腺は何もわからずに働いているのでしょうが、未完成ゆえの、ケガの功名といえますね。
つまり、「体外毒素」に関しては、汗腺も「排出器官」となる可能性があるのです。
ただし、汗腺が有害金属を排出するためには、濃度の濃い大量の汗が一気にドッと出てくる必要があります。