ここで、岩盤浴で免疫力が高まることが医学的に証明されたわけですが、私たちが今注目しているのは、アトピー性皮膚炎と花粉症です。これらは、メカニズムは異なりますが、ともに免疫が関係している病気です。
免疫とは、先程説明したように、自分の身体に異物が進入してきたときに、それを排除しようとする反応です。しかし、人間が生活する社会環境にはあまたの異物が存在しています。自然が豊かであれば、花が咲き花粉が飛びます。活動して汗をかけば、皮膚の常在菌が繁殖します。私たちの周りにあるそれら「当たり前の異物」をいちいち排除していたら、自然界での生活そのものが成り立ちません。
そこで人間は、ホコリ、花粉、常在菌といった身近にあるものは、異物ではなく「身のうち」として受け入れてあげようという寛容な免疫機構も備えたのです。これをトレランスといいます。
この寛容の精神を持てずに、身近な花粉や皮膚にすみついている常在菌を過剰に排除しようとして免疫機能を働かせすぎたのが花粉症であり、アトピー性皮膚炎なのです。
私は今までこ貝して、岩盤浴は「医療施設」ではありませんので、「ガンが治る」「糖尿病に効く」などの効能を謳ってはいけませんよ、と忠告してきました。
しかし、このアトピー性皮膚炎、花粉症に対しては、かなりの「改善効果」が期待できそうなのです。
まず、アトピー性皮膚炎に関しては、岩盤浴を病院に併設した皮膚科の先生から、「顕著な改善傾向がある」とのコメントをいただいています。実際に高知県に岩盤浴でも使用されている鉱石をアトピー性皮膚炎の治療に応用して、全国から患者さんが訪れる病院もあります。最近では私の身近にも改善した症例(?)がありました。それは当院の看護師です。当院の近くにも岩盤浴サロンができ、早速体験したそうですが、たった1回の岩盤浴の入浴でアトピー肌がすべすべしてきました(私も確認しました)。
通常アトピーは、汗が皮膚を刺激したり、皮膚が温まるとかゆみが増強して、その皮膚をかくことで悪化することが多いのです。私は岩盤浴でかく「いい汗」は刺激が少なく、むしろその汗がアトピーで乾燥した皮膚を保湿するのではないかと考えています。さらに、岩盤浴では「いい皮脂」もかきます。通常、古い皮脂は活性酸素で酸化され、過酸化脂質となり、それが雑菌を繁殖させたり、皮膚を刺激することでアトピーの原因になるといわれています。しかし、岩盤浴でかく汗と油は、肌に優しい「皮脂膜」を作るのではないかと考えます。
ただし、私のクリニックに届くメールの中には、収まっていたアトピーが岩盤浴で再発したという人もいますので、アトピー体質の人は、皮膚科の先生とも相談した上で慎重に利用するのがよいでしょう。
花粉症に関しても、現在耳鼻科の先生と協力して、医学的データを集める準備をしています。少なくとも花粉症の人が岩盤浴で症状が悪化したという報告は今のところありませんので、かなり期待してもいいでしょう。
しかし、私は岩盤浴で「免疫力や自然治癒力が高まる」ということを、決して「病気を治す力が強くなった」とは思っていません。岩盤石という地球からの贈り物の上に横たわって抱かれることで、遠赤外線という字宙からのパワーを吸収して、字宙と自己が一体化することで、自然界の非自己(異物)や病気と「共存する力が養われた」と考えています。
自らの身体に宿った病気をことさら排除するのではなく、自己の身体の一部として受容し、自分の力と字宙の力が一つとなって病気に向かってゆくこと、つまり「自力」と「他力」が一つとなる「自他一如」こそ、岩盤浴の自然治癒力の本当の意味ではないでしょうか。
岩盤浴で「治癒力」が高まることはわかりました。しかしそれは、さまざまな治療法が効果をあげるための前提が整ったという意味です。いずれ、科学的データが岩盤浴の医学的効能を証明する日が来るでしょう。今は、岩盤浴はあくまで気持ちのいい「リラクゼーション法」の一つという立場を崩さないようにすることが大切です。
岩盤浴に関わる人が、冷静かつ公正なスタンスをとって、利用者に正しい情報を提供していれば、岩盤浴は、いずれ広く一般に認知され普及する日が訪れるでしょう。
本当にいいものは、放っておいてもいいのです。